研究生レポート:JICA「草の根技術協力事業」の2019年度本邦研修(10日目)

Miguel Ángel Echeverría Tager
(ミゲル・アンヘル・エチェベリア・タヘル)
(2019/10/16)

 12日に予定されていた大野への訪問は、台風のため延期となり、10月15日火曜日に行われることになった。緒方理彩氏とアレハンドロ・ファジャ氏は、醤油醸造所として有名な海辺の町へ、バスを利用しつつ先導してくれた。大野は、その名自体が大豆の生産と絡み合っている町である。この地域やその周辺の日本人の間では、醤油と味噌は大野の代名詞となっている。醤油、味噌、豆腐をはじめとする大豆食品は日本食の主たる要素である。トウモロコシはアメリカに、小麦はヨーロッパに、大豆はアジアにもたらされた。私たちは、この地域で最も有名なヤマト醤油味噌に最初に立ち寄った。

 醸造所が開くのを待っている間、私たちは隣接する売店で時間を過ごした。この売店は私たちが訪れる予定となっていた醸造所の一部でもある。この工場で作られたものだけでもたくさんの種類の醤油があることに驚いた。醤油は、レシピに合わせて特別に製造されているものもある。たとえば、寿司の醤油、ポン酢に近い醤油、酸っぱい醤油、甘い醤油などである。研修生のフランシスコ・カノ氏は、グアテマラではこうした醤油が存在することをほとんど知られていないのに加え、グアテマラでは大きなボトルではなく、小さなボトルのものしか売っていないと指摘した。

 醸造所に入ると、非常に友好的な若い日本人が醤油の製造工程について説明してくれた。彼女は先述した売店で働いており、私たちに製品の無料サンプルを提供したり、生産のプロセスを説明してくれたりしていた。彼女は、大豆の性質と発酵の化学的プロセスを説明することから始めたが、彼女の説明は教育的かつ宣伝的なものだった。研修生のイングリ・モラレス氏は、「彼女の話を聞くまでは、大豆の性質と発酵の化学的プロセスが醤油の生産と深い関係にあることを知らなかった」とコメントしていた。

 説明を続けていく中で、彼女は日本料理における大豆の重要性について触れ、20世紀初頭のヤマト醤油味噌の醸造所の歴史とその起源について説明した。説明を終えた後、彼女は私たちを先導して、初期の頃に使用されていた入荷した大豆を寝かせておく蔵を見せてくれた。


大豆の発酵の過程について説明を受ける研修生一行


 説明を受けたことにより、私たちは皆、店で販売されている製品、さまざまな種類の醤油や味噌、およびヤマト醤油の特産品をこぞって購入しようとした。また、研修生のグループ全体を代表して、クリステル・ピネダ氏と私(ミゲル・アンヘル)は、醤油を練りこんだアイスクリームを試してみた。驚いたことに、それはとても美味しかったので、デザート用に作られた甘い醤油のボトルを一本購入することにした。

 ヤマト醤油味噌を訪れた後、別の醤油店に立ち寄った。店のオーナーは、彼が販売している大豆から作られたさまざまな種類の製品について説明してくれた。この店は、地元のすべての醸造所が製品を取り扱って販売している店のようだった。この店ではコーヒーも提供しており、地元の海産物を使った限定メニューを提供していた。私たちは香林坊に戻って昼食をとることにした。

 研修で予定していたすべての訪問を終えた後、教室に戻って高山と白川郷への訪問を通して学んだことを中村誠一教授に報告した。私たちは皆、視察してきた場所にさまざまな評価をしていたが、これらの訪問が何らかの形で今後作成するアクションプランに役立つことを感じていた。その後、私たちは各々のアクションプランに関する素案の作成を開始した。