研究生レポート:JICA「草の根技術協力事業」の2019年度本邦研修(11日目,12日目)

Miguel Ángel Echeverría Tager
(ミゲル・アンヘル・エチェベリア・タヘル)
(2019/10/18)

 アクションプランの発表まで準備期間が2日間ある。研修生の中には、提示しようとするアクションプランをどのように表現するのか、まだ迷っている段階にある者もいる。中には考えをすでにまとめ、発表に向けてのプレゼンテーションを作っている者もいる。 10月16日水曜日と10月17日木曜日は、これまで行っていた視察など外部と接触することを断ち、アクションプランの発表に向けてのプレゼンテーション作成に集中するための2日間となった。私たち全員の間で続けられた継続的な学びと有益なディスカッションは、最終発表を可能な限り最高なものにすることに役立った。私たちが視察し、学び、経験したすべては最高なものであるには違いないが、それで満足することはできず、よりよいアクションプランを模索していかなければならない。

 ディスカッションが始まった。各々のアクションプランは個別に提示されるが、それらが互いに関連しているべきだと考えた。ある種のチームワークとも言えるだろう。私たち全員がアクションプランを実践していき、コラボレーションすることでより効果的なものとなる。予備的なアイデアが提示された後、一つのアクションプランのアイデアが別のアクションプランののアイデアをどのように補完するかをより明確にするために、グループディスカッションがなされた。


本番の発表に向けて準備を進める研修生一行


 イングリ・モラレス氏は、自分がやりたいことがどこまで可能なのか、実際に行えるのか、その限界を見つけるのに苦労していた。今やりたいことがたくさんあり、それらをどのようにまとめて一つのプロジェクトに適合しうるのかわからないと彼女はコメントした。結局、自然に恵まれた環境にあるイシュルから来た彼女は、コミュニティが忘れかけている自然の観光名所の1つであるサルペテン湖の復旧・再活用や、放棄された状態にある考古学公園の活性化を通して、経済成長をもたらすことが見込まれるアクションプランに取り組むことを決めた。具体的に、彼女の主な提案は、観光客向けの案内情報の充実化、遊歩道への案内板の設置、森林破壊がなされた地域に植樹するキャンペーンである。

 フランシスコ・カノ氏はまた、実現可能と思われるアクションプランを見つけるのに苦労したが、最終的にはシンプルで直接的なアクションプランを見出した。それは、ティカル国立公園への観光回廊に位置するエル・カオバにて、観光客向けの展望台の改装を行うというものである。荻町の城址における展望台は、小木町に行くすべての観光客にとって必須の停留所であり、そのようなものをエル・カオバにも作りたいと彼は考えている。

 対照的に、カルロス・ゴンサレス氏、クリステル・ピネダ氏、クリスティアン・アギラール氏は、彼らがより直接的に自らのテーマを構想していた。

 クリステル・ピネダ氏は、工芸品が軽視されているコミュニティでの職人向けのワークショップを通して、ティカルを訪れる観光客が足を運べる観光ツアーを確立することに目を向けた。ヤマト醤油味噌を訪れたクリステル・ピネダ氏は、工芸品を販売するための最良の戦略は、まず観光客に製造工程を見てもらった後に、完成品を手に取ってもらうことだと判断した。数分で職人のように、製品を作成し、それをお土産として家に持ち帰ることができるアクティビティを観光客に提供できるかもしれない。

 カルロス・ゴンザレス氏は、上記のイシュルのアクションプランを補完するアクションプランのアイデアをすでに持っていた。私たちが今回視察したところはほとんどどこでも、観光客が利用できる観光情報は常に備えられていた。たとえば、パンフレット、イラスト付き地図など観光客は訪れている場所に関する情報を常に手にすることができる。彼のアクションプランは、そのような観光情報を作成できるように人々を訓練するというアイデアを中心に展開している。

 ホンジュラスから来た唯一の研修生であるクリスティアン・アギラール氏は、世界遺産のコパンのマヤ遺跡周辺のコミュニティの教育に関するアクションプランを提案している。彼は、人々を教育し、彼らが所有する考古学公園の重要性を教えることにより、彼らが自分たちの利益のために公園を活用し始めることを信じている。彼が主張した最も重要な観点は、世界遺産が持つ価値についての意識を高めることである。そうすることで、人々は公園の世話をし、自分の経済的利益のためにそれを活用することができるようになるのである。

 大変な作業ではあったものの、木曜日の午後にはすべてのアクションプランの準備が整った。改善点についてコメントし合ったり、有益なアドバイスを受けたりするために、中村誠一教授の前でプレゼンテーションのリハーサルを行う機会を設けた。