岡崎 健治(おかざき けんじ)
専門分野は最近では生物人類学と呼ばれており、遺跡にて発掘された古人骨を研究対象としています。古人骨のクリーニング、同定、形態分析などを通して、新石器革命の実態を明らかにすることを主な研究目的としています。具体的には、1)環境と健康: 農耕の普及に伴う社会環境の変化が人類の健康状態にどのような影響を与えたのか、2)集団の起源と成り立ち: 農耕の発展を契機とする人口急増が引き起こした集団の移動・拡散が、どのような過程を経て現代人を形作ったのか、これら両面からアプローチしています。
これまで、日本、中国、台湾、モンゴルなど主に東アジアにてフィールド調査を重ねてきました。最近では、水田稲作の起源地である新石器時代長江デルタ、騎馬および遊牧の導入期である先匈奴時代モンゴルなどを重点的に研究しています。本プロジェクトでは、新石器時代西アジアの遊牧民を対象としており、私は彼らの遺骨を用いた形態学的研究を担当しています。これまで分析してきた長江デルタの稲作農耕民やモンゴルの遊牧民との比較研究を通し、アジアの両端における新石器革命の変異を明らかにすることを目指しています。
主な著書・論文
・Okazaki, K., Takamuku, H., Yonemoto, S., Itahashi, Y., Gakuhari, T., Yoneda, M., Chen, J. (2019) Paleopathological approach to early human adaptation for wet-rice agriculture: First case of Neolithic spinal tuberculosis at the Yangtze River Delta of China. International Journal of Paleopathology Vol. 24, pp. 236-244.
・河野礼子・岡崎健治・仲座久宜・徳嶺里江・片桐千亜紀・土肥直美 (2018) 3次元デジタル復元に基づく白保4号頭蓋形態の予備的分析と顔貌の復元. Anthropological Science (Japanese Series) Vol. 126, pp. 15-36.
・木村佳乃・岡崎健治 (2018) 超音波診断装置を用いた顔面軟部組織の厚さの測定: 日本人頭蓋骨の復顔への応用をめざして. Anthropological Science (Japanese Series) Vol. 126, pp. 37-54.
・Okazaki, K., Yonemoto, S. (2018) Morphological analysis on the human bones unearthed from the Emeelt Tolgoi site. In Excavation at Emeelt Tolgoi site. Edited by Miyamoto, K., pp. 46-53, Fukuoka: Kyushu Computer Printing Limited Company.
・Okazaki, K., Yonemoto, S. (2017) Human skeletal remains of the Bronze Age unearthed from the both sites of Khyar-Kharaach in the Govi-Altai province and Bor-Ovoo in the Bayankhongor Province, Mongol. In Excavation at Vol Ovoo and Khyauru Khyaraach sites. Edited by Miyamoto, K., pp. 55-65, Fukuoka: Kyushu Computer Printing Limited Company.