2021/10/10
二国間交流事業によるウィーン大学との合同調査
去る9月11日〜10月4日の日程で、サウジアラビア北西部、タブーク州に所在するクレイヤ遺跡の調査を行いました。この調査はウィーン大学との二国間交流事業の予算(研究代表者:上杉彰紀)で実施したものです。今回は300ヘクタール以上あるといわれる超大型都市遺跡であるクレイヤ遺跡の測量調査を行い、ウィーン大学が実施してきた発掘調査の成果を位置づけるための基礎的データを作成しました。
クレイヤ遺跡は前期青銅器時代から中期青銅器時代を中心に発展した都市遺跡ですが、測量調査の結果、遺跡全体が石積周壁によって囲まれ、その南半部に居住域と墓域が、北半部に石囲い遺構(植物栽培用の畑と推定されています)が展開していることが明らかになりました。また、周壁の外側にも石囲い遺構は広がっており、後背地であるワディ・グバイから流れてくる水を利用して広い範囲で植物栽培を行なっていた可能性があります。
アラビア半島内陸部の乾燥域において、超大型都市の建設と維持を可能にした水利システムと生業基盤、そして後背地に遺跡を残した遊牧民との関係など、興味深い研究テーマが明確になってきました。
この二国間交流事業による共同研究は来年度も継続の予定です。