市川彰(いちかわあきら)
所属:古代文明・文化資源学研究所(専任)
職階:准教授
専門:メソアメリカ考古学
※金沢大学:研究者情報
研究内容
現在のメキシコおよび中米に栄えたマヤ文明やアステカ文明を含む諸文明の総称を「メソアメリカ文明」といいます。私は、このメソアメリカ文明について考古学およびその関連分野の研究者の方々と協働し研究を進めてきました。
これまでのフィールド調査のほとんどはエルサルバドル共和国で実施し、社会的文化的に遅れた存在と認識され、あまり研究の進んでこなかった周縁社会の独自性や主体性に着目して、メソアメリカ文明の動態を明らかにすることに取り組んできました。
近年は、人間と環境の相互作用、特に火山の噴火や干ばつなどによって生じる気候変動と人間社会の反応や適応、崩壊・衰退との因果関係について多角的に検討することを進めています。メソアメリカ文明のみならず、しばしば古代文明の崩壊や衰退は急激な気候変動と結びつけられることがありますが、私の研究からは必ずしもそうではなく、むしろ社会発展の契機になることもあるということがわかってきています。
古代の建築技術や労働組織の研究にも興味があり、特に脆弱な土の建築遺産の修復・保存技術の開発に取り組んできました。その際、地域住民と協働し、持続可能な文化遺産の保存と活用のために地域における遺跡、つまり文化資源としての新たな価値の創造にも取り組んでいます。
主な著書・論文
- Ichikawa, A. 2022. Human Responses to the Ilopango Tierra Blanca Joven Eruption: Excavations at San Andres, El Salvador. Antiquity 96 (386): 372-386.
- Ichikawa, A. 2022. Monumental Structures and Volcanic Activities: Excavating the Campana at San Andres in the Zapotitan Valley, El Salvador. Latin American Antiquity 33(1): 135-154.
- Ichikawa, A.2021. Warfare in Pre-Hispanic El Salvador. Annual Papers of the Anthropological Institute 12: 178-196.
- Ichikawa, A. 2021. Conservacion de Arquitectura de Tierra en San Andres, El Salvador. In A. Daneels (ed.), Arquitectura Mesoamericana de Tierra Vol. II. pp. 319-343. Mexico City, Instituto de Investigaciones Antropologicas de la Universidad Nacional Autonoma de Mexico.
- Ichikawa, A., and J.M. Guerra Clara 2021. Arquitectura de Tierra en la Frontera Sureste Maya: San Andess en el Valle de Zapotitan, El Salvador, C.A. In A. Daneels (ed.), Arquitectura Mesoamericana de Tierra Vol. II. pp. 213-246. Mexico City, Instituto de Investigaciones Antropologicas de la Universidad Nacional Autonoma de Mexico.