松永篤知(まつながあつし)

所属:金沢大学資料館(古代文明・文化資源学研究所 兼任)
職階:特任助教
専門:日本考古学、博物館学
※金沢大学:研究者情報


研究内容

 金沢大学の学部生の頃から20年以上、縄文時代・中国新石器時代を中心とする編物と敷物圧痕の研究を続けています。

 編物とは、細長い素材を組んだり絡めたり巻き上げたりして平面的ないし立体的に形成した器物のことで、カゴや敷物、編布(あんぎん)などのことです。一見すると地味ですが、過去の時代においては衣食住その他、生活のあらゆる場面で活躍した重要な道具であり、当時の人々の暮らしを復元する上では欠かせません。

 敷物圧痕は、土器製作時に敷かれていた編物や植物の葉などが土器底面に押圧されて残った凹凸のことですが、遺存しにくい編物や植物の間接資料であり、土器製作・編織技術・植生古環境の貴重な手がかりとして、卒業論文・修士論文の頃から注目し続けています。

 近年は、織物や編織具にも研究対象を広げ、三次元計測や民俗/民族調査なども取り入れながら、より実態に即した東アジア先史時代の編織技術・編織文化の解明を目指しています。

 また、時代を問わず北陸・東海地方の約30遺跡の発掘調査に従事しており、金沢大学においても構内遺跡の発掘調査を担当しています。宝町遺跡では、近世城下町や近代病院の遺構・遺物を発見しました。

 北陸地方出身者であり、金沢大学資料館を主所属としていることから、これらの調査・研究の成果を北陸の地元の方々に展示等で発信しながら、地域に根差した考古学を進めていきたいと思っています。


主な著書・論文

  • Matsusnaga, A. 2023. Modernization Heritage and Modern Archaeological Sites in Kanazawa University. In Kanazawa University Museum (ed.), 2022 Kanazawa Symposium on Modernization Heritage Research Report(「金沢大学の近代化遺産と近代遺跡」金沢大学資料館編『近代化遺産シンポジウム金沢2022研究報告書』), pp. 29-42. Kanazawa, Kanazawa University Museum.
  • 松永篤知 2021 『金沢大学と石川県の考古学―北陸人類学会から現在までの歩み―』金沢、金沢大学資料館・金沢大学埋蔵文化財調査センター・石川考古学研究会。
  • 松永篤知(編著) 2021 『金沢大学構内遺跡 宝町遺跡 ―宝町遺跡第19次発掘調査報告書―』金沢、金沢大学埋蔵文化財調査センター。
  • 松永篤知 2020 「河姆渡の編物、良渚の編物―長江下流域の編物の系譜を探る―」中村慎一・劉斌(編)『河姆渡と良渚』、161-168頁。
  • 松永篤知 2019 「中国先史時代の編物について」『中国考古学』19号、91-108頁。
  • 松永篤知 2018 「考古学的視点から見た石川県の編物の歴史」『北陸史学』67号、1-22頁。

角間遺跡 縄文土器底部のスダレ状圧痕
写真1:角間遺跡 縄文土器底部のスダレ状圧痕

宝町遺跡 眼科病棟跡 検出状況
写真2:宝町遺跡 眼科病棟跡 検出状況

宝町遺跡 近世土人形 出土状況
写真3:宝町遺跡 近世土人形 出土状況