足立拓朗(あだちたくろう)

所属:古代文明・文化資源学研究センター(専任)
職階:教授
専門:西アジア考古学
※金沢大学:研究者情報


研究内容

 西アジアの新石器時代から鉄器時代にかけての遊牧民・移牧民を研究対象としており、以下の研究を進めています。 新石器時代においては、移牧民の貝製品交易の研究を行っています。地中海産貝と紅海産貝の貝製品の分析から、貝製品の双方向の連鎖交換システムを明らかにすることが目的です。

 銅石器時代においては、スプーン形土製品の研究を行っています。従来、村落遺跡から出土していましたが、金沢大学が調査している砂漠地域の祭祀遺跡で出土しており、その新たな機能に注目して研究を進めています。先史時代におけるスプーンは、離乳食の摂取のために使用されたとする仮説を立てており、世界各地の先史時代のスプーン遺物との比較も行なっていきたいと考えています。

 青銅器時代においては、武器研究を進めています。現在は特に槍の研究を進めていますが、今後は棍棒の研究にも取り組んでいく予定です。アラビア半島の青銅製武器の編年を構築することが目的です。

 鉄器時代においては、イラン系遊牧民の起源について研究を行なっています。これまでは土器の型式学的研究を進めてきましたが、今後は文化財科学の手法を取り入れた研究を実施していく計画です。


主な著書・論文

  • Adachi, T (2019.2) “A Chronological Division of the Iron Age III Period at the Tappe Jalaliye in Giran, Northern Iran”, S. Nakamura, T. Adachi and M. Abe (eds.) Decades in Deserts: Essays on Near Eastern Archaeology in honour of Sumio Fujii, Tokyo, Rokuichi Shobou, pp.319-322.
  • Adachi, T and S. Fujii (2018.4) “Shell Ornaments from the Bishri Cairn Fields: New Insights into the Middle Bronze Age Trade Network in Central Syria”, Proceedings of the 10th International Congress on the Archaeology of the Ancient Near East, Harrassowitz Verlag, pp.239-246.
  • Adachi, T and S. Fujii (2018.3) “Wadi Hedaja 1 and 2: A Chronological Assessment Based on Unearthed Artifacts,” al-Rafidan 39, pp.55-69.
  • 足立拓朗 (2017.11)「古代イランにおける青銅器から鉄器への変遷」『文明と鉄器─普及とその過程─』愛媛大学東アジア古代鉄器文化センター.
  • Adachi, T. (2016) “Shell Ornament Processing Methods in Northern Syria during the Early and Middle Bronze Ages,” Bulletin of the Ancient Orient Museum 35, pp.1-14.

サウジアラビア、タブーク州、ワディ・シャルマ1遺跡、発掘中
写真1:サウジアラビア、タブーク州、ワディ・シャルマ1遺跡、発掘中

サウジアラビア、タブーク州、ワディ・グバイ遺跡群、踏査中
写真2:サウジアラビア、タブーク州、ワディ・グバイ遺跡群、踏査中

ヨルダン、マアン県、ペトラ遺跡、見学中
写真3:ヨルダン、マアン県、ペトラ遺跡、見学中