中村慎一(なかむらしんいち)
所属:歴史言語文化学系(古代文明・文化資源学研究センター 兼任)
職階:教授
専門:東アジア考古学
※金沢大学:研究者情報
研究内容
大学院修了から今日に至るまで、①アジア稲作の起源と展開に関する研究、②中国における都市と国家の形成過程に関する研究、の二つのテーマを中心に研究を進めてきました。近年では、同位体地球化学、生化学、遺伝学等の方法を用いて考古遺物の分析を行ういわゆる考古科学の研究者たちと協働して、考古学プロパーの方法では解明することが難しかった事柄に取り組んでいます。
前科研(新学術領域研究《総合稲作文明学》H27-31)では、中国浙江省を中心とする地域を対象に、広範囲経済の一環として始まった稲作が、やがてそれなくしては立ちいかない社会を生み出し、最終的に良渚都市文明として結実する過程をさまざまな方面から跡付けていきました。
良渚文化期に発明された、ヒトとモノを集める装置としての都市のアイデアは、紀元前3千年紀後半に中国各地に広まり、いくつもの地方文明が勃興します。それらは紀元前1850年頃に黄河中流域の二里頭に収斂し、そこを唯一の放射中心とする中国文明が生まれます。現科研(学術変革領域研究(A)《中国文明起源》R2-6)では、そうした汎中国的な文化動態に加え、プロト・シルクロード経由でもたらされたウェスタン・インパクトが果たした役割なども視野に入れつつ、中国文明誕生の道筋を追っていきます。
主な著書・論文
- 中村慎一・劉 斌(編)(2020)『河姆渡と良渚―中国稲作文明の起源―』雄山閣、 2020.
- Shoda, S., A. Lucquin, C. Sou, Y. Nishida, G. Sun, H. Kitano, J. Son, S. Nakamura, O. E. Craig (2018)Molecular and isotopic evidence for the processing of starchy plants in Early Neolithic pottery from China, Scientific Reports 8 (17044) 1-9. (DOI:10.1038/s41598-018-35227-4)
- 秦 小麗・中村慎一(2018)「新石器時代後期の黄河流域における長江系玉器の拡散―山西省清涼寺墓地と陶寺墓地の分析を中心として― 」『中国考古学 』18号、53-71.
- 秦 小麗・中村慎一(編)(2018)『黄河流域におけるトルコ石製品の生産と流通』(『金沢大学文化資源学研究』第19号)金沢大学国際文化資源学研究センター.
- Watanabe, N., S. Nakamura, B. Liu, N. Wang(2017)Utilization of Structure from Motion for processing CORONA satellite images: Application to mapping and interpretation of archaeological features in Liangzhu Culture, China, Archaeological Research in Asia 11, pp.38-50. (DOI: 10.1016/j.ara.2017.06.001)