谷川竜一(たにがわりゅういち)
所属:新学術創成研究機構(古代文明・文化資源学研究センター 兼任)
職階:准教授
専門:建築史
※金沢大学:研究者情報
研究内容
私は、20世紀のアジア近現代建築史を大きな専門枠として研究を進めてきました。建造物は近代化と植民地化を担う両義的なツールであり、それが故に衝突と融和、共存のメカニズムに関与します。より現場に即して言えば、多様な人々が関係しながら建造物が建設され、受容・利用され、更新されていく過程は、空間的なコミュニケーション史と見ることもできるでしょう。こうした視座から、「アジアにおける帝国日本の形成とその敗戦にともなう解体機制の解明」の研究を、建築史・都市史・土木史を横断しつつ進めています。 また、帝国日本の解体だけでなく、その解体された地にあらたに建設される新国家(韓国、北朝鮮など)のポストコロニアルな歴史も重要なテーマとしています。
特に力を入れている具体的テーマは次の三つです。
1)日本との関係を視野に入れた朝鮮半島の20世紀建築・都市・土木史の解明
2)日本によるアジア巨大開発史の解明──特に水力発電所やトンネル、超高層ビルやホテルなどで構成された日本のアジア開発と対アジア戦後賠償の史的解明
3)出稼ぎトンネル坑夫集団・豊後土工の全容解明
主な著書・論文
- 谷川竜一「日豊本線のトンネル建設工事と南・北海部郡の地域社会――豊後土工成立前夜の建設労働者たち」『土木史研究講演集』41巻、土木学会、2021年、55-62頁。
- 谷川竜一、クズネツォフ・ドミトリー「北朝鮮の都市計画家・金正熙――朝鮮戦争休戦(1953年)以前の履歴解明とその分析」『日本建築学会計画系論文集』86巻、781号、2021年、1103~1113頁。
- 谷川竜一「豊後土工と芋」『佐伯史談』第237号、佐伯史談会、2021年、15~31頁。
- Ryuichi Tanigawa, Dongchun Seo, “Architecture teachers during the early days of North Korea: Between liberation from Japanese colonial rule and the establishment of a socialist state,” Japan Architectural Review, Volume 4, Issue 1, Architectural Institute of Japan, 2020, pp.155-167.
- 谷川竜一「1958年、平壌・青年通りにアパートが建つ」『思想』1161号、2020年、38~61頁。