上杉彰紀(うえすぎあきのり)

所属:古代文明・文化資源学研究センター(専任)
職階:特任准教授
専門:南アジア考古学
※金沢大学:研究者情報


研究内容

 インド、パキスタンを中心とする南アジア考古学を専門としています。南アジアはその多様な自然環境に応じて、多様性と統一性を特徴とする社会と文化を築いてきました。この南アジアの特質について多面的に理解するため、西暦紀元前4000年頃から紀元後1000年頃までの5千年間に及ぶ長期的な時間スケールと多層的な空間スケールのもとで、南アジア各地に展開した社会、文化を物質文化の面から研究しています。

 具体的には、前2600~前1900年頃に南アジア北西部にさかえたインダス文明、前1500~後1000年頃の北インドと南インドにおける鉄器時代・古代の文化について、それらが南アジアという一つの文化的世界の形成においてどのような役割を果たしたのか、人、物、情報の移動を含めた地域間交流という視点から解明を試みています。また、南アジア各地の研究者と共同で発掘調査や分布調査を行うとともに、各地の考古資料の記録化・分析を継続することにより、資料に即した実証的研究を進めています。また、南アジアの歴史の上で重要な役割を果たしたバハレーンでも調査・研究を行なっています。

 この多様性と統一性を特徴とする南アジアの考古学研究は、古代文明社会の成り立ちや衰退、変容における地域社会のあり方や地域間交流の役割の理解に重要な手がかりを与えてくれるものと考えています。


主な著書・論文

  • Uesugi, A. (2020) “Stone Beads from Taxila.” Ancient Pakistan 30: 1-22.
  • Uesugi, A., Ambily C.S., Ajit Kumar, Rajesh S.V. and Abhayan G.S. (2019) “A Study on the Ceramic Sequence in the Megalithic Culture of Kerala.” Man and Environment 44(1): 21-32.
  • Uesugi, A., Ambily CS, Ajit Kumar, Abhayan GS and Rajesh SV (2019) Stone Beads from Megalithic Burial at Niramakulam, Kerala. in: Rajesh S.V., Abhayan G.S., P. Nayar and E.R. Ilahi (eds.) Human and Heritage: An Archaeological Spectrum of Asiatic Countries (Felicitation to Professor Ajit Kumar). New Bharatiya Book Corporation, Delhi. pp. 1-22.
  • Uesugi, A. (2019) A Note on the Interregional Interactions between the Indus Civilization and the Arabian Peninsula during the Third Millennium BCE. in: S. Nakamura, T. Adachi and M. Abe (eds.) Decades in Deserts: Essays on Near Eastern Archaeology in honour of Sumio Fujii. Rokuichi Shobo, Tokyo. pp. 337-355.
  • Uesugi, A. (ed.) (2018) Current Research on Indus Archaeology. Research Group for South Asian Archaeology, Archaeological Research Institute, Kansai University, Osaka.

インド、ハリヤーナー州ミタータル遺跡の発掘調査(前2100年頃)
写真1:インド、ハリヤーナー州ミタータル遺跡の発掘調査(前2100年頃)

インド、ケーララ州クッティコル遺跡の岩窟墓(前700年頃)
写真2:インド、ケーララ州クッティコル遺跡の岩窟墓(前700年頃)

バハレーン、アアリ遺跡の墳墓群(前1900年頃)
写真3:バハレーン、アアリ遺跡の墳墓群(前1900年頃)