研究の方法
調査・研究の対象となる時代は、ヤギ・ヒツジが家畜化された新石器時代の前半(紀元前8000年頃)から、遊牧部族社会が成立したとされる前期青銅器時代(紀元前3000年頃)までの、約5千年間である。対象となる地域は、ジャフル盆地(ヨルダン南部)、ヒジャーズ地方(サウジ北西部)、スマーマ高原(サウジ中部)、バーレーン、エジプト東部砂漠である。
5千年間の文化動態を追跡するため、先史考古学のみならず、動物考古学、形質人類学、生命科学、社会学、文化人類学、岩絵・碑文学などを総動員し、テントで移動しながらの包括的な遺跡調査を実施する。具体的には、以下三つの段階的な課題を設定し、中東遊牧部族社会の起源に迫る。
① 遊牧化のWhen/Where/What(編年プラットフォームの構築)
② 遊牧化のHow/Why(遊牧化過程の動態研究)
③ アラビア半島先原史遊牧部族社会の起源と史的特質(総括)