古手川博一(こてがわひろかず)

所属:ホンジュラス国立自治大学
職階:客員研究員
専門:オルメカ考古学、パブリック考古学、博物館学


研究内容

 私の研究テーマはメキシコ湾沿岸地域先古典期オルメカ文化(紀元前1800年から紀元前400年頃)です。特に記念碑的大型石彫に関して研究を進めてきましたが、2012年からは、オルメカ社会の二次センターとして機能していたエステロ・ラボン遺跡で発掘調査を実施し、オルメカ社会における中層・下層のエリート階層の人々がどの様な生活をして、サン・ロレンソやラ・ベンタといった首都に住む上層のエリート階層を支えていたのかを明らかにしようとしています。その過程で、これまで不明であったオルメカ文化以降の古典期社会(紀元後700年から1000/1100年ごろ)の様相が明らかとなり、オルメカ文化との関連性も見えてきました。しかし、肝心の同遺跡におけるオルメカ社会の様相がまだはっきりとわからないので、今後も発掘調査を継続し、必要なデータを集めて分析する必要があります。

 また、同遺跡上にある現代の地域社会において考古遺産保護活動やパブリック考古学的な研究も実施し、考古学的な情報を含めた地域の考古遺産の有益な活用方法を模索しています。2019年から2022年にかけては科研費の研究スタート支援の助成を受けて「移民社会におけるパブリック考古学を通じて考古遺産を利用したアイデンティティ再構築」(19K23119)という研究を実施し、考古学に関する教育・普及活動がまだまだ不足していること、そして、考古遺産が地域の活性化やアイデンティティ形成に重要な役割を果たしていることを明らかにしました。

 また、本務校のホンジュラス国立自治大学では社会科学部人類学学科が実施している「エル・パライソ県・チョルテカ県人類学プロジェクト」に参加し、同地域の踏査と発掘調査を行い現地調査で得られた考古学データを用いた研究に従事しています。また2022年から、同ブロジェクトに関連して、ホンジュラスにおける考古学資源有効利用の為にバーチャル博物館の創設と活用の可能性を明らかにする研究を始めました。


主な著書・論文

  • 古手川博一2022 「ホンジュラスの考古学研究考古学的可能性とホンジュラス国立自治大学の役割」中原篤史(編)『現代ホンジュラスを知るための55章』、264−268頁。東京、明石書店。
  • 古手川博一2022 「日本国外で古代アメリカを研究する利点と難点、そして続けることの大切さ」『古代アメリカ学会会報』47号、3-10頁。
  • 古手川博一・黒崎充 2021 「メキシコ湾岸文化 南部地方と中部地方の古代文化」伊藤伸幸(監修)、嘉幡茂・村上達也(編)『メソアメリカ文明ゼミナール』、69-92頁。東京、勉誠出版。
  • 古手川博一 2021 「コラム②ラ・ベンタ」伊藤伸幸(監修)、嘉幡茂・村上達也(編)『メソアメリカ文明ゼミナール』、93-94頁。東京、勉誠出版。
  • 古手川博一 2021 「コラム③エステロ・ラボン」伊藤伸幸(監修)、嘉幡茂・村上達也(編)『メソアメリカ文明ゼミナール』、95-97頁。東京、勉誠出版。
  • 古手川博 2021 「コラム⑦テオパンテクアニトラン」伊藤伸幸(監修)、嘉幡茂・村上達也(編)『メソアメリカ文明ゼミナール』、101-102頁。東京、勉誠出版。
  • 古手川博一 2021 「新型コロナウイルス影響下における考古学調査と現地の共同体:メキシコ合衆国ベラクルス州南部の事例」『古代アメリカ学会会報』46、9-14頁。
  • 古手川博一 2021 「付録1.各国情報 ホンジュラス共和国」 関雄二(監修)『ラテンアメリカ文化事典』、662頁。東京、丸善出版。
  • 古手川博一 2020 「ホンジュラス国内の大学教育と国外での研究活動へのCOVID-19の影響について」『古代アメリカ学会会報』45号、5-7頁。
  • 古手川博一 2020 「エステロ・ラボン考古学プロジェクト」『いえらっく』40号、16頁。
  • Kotegawa, H. 2023. Aportaciones arqueológicas, educativas y del desarrollo local por el Proyecto Arqueológico Estero Rabón. In S. Nakamura, T. Adachi and M. Ogawa (eds.), Japanese Contributions to the Studies of Mesoamerican Civilizations, pp. 131-146. Japan, Institute for the Studies of Ancient Civilizations and Cultural Resources at Kanazawa University.
  • Kotegawa, H. 2020. Aspectos Acuáticos de Estero Rabón: Reconstruyendo las Actividades Realizadas. In L. Budar and S. Ladrón de Guevara (eds.), Uso y Representación del Agua en la Costa del Golfo, pp. 219-232. Mexico, Universidad Veracruzana e Instituto Literario de Veracruz S.C.
  • Kotegawa, H. 2018. El Trono de Estero Rabón. Revista Arqueología Mexicana 150: 56-57.
  • Kotegawa, H. 2017. Posibles Imágenes del Trono Olmeca Encontrado en Estero Rabón, Veracruz, México. In B. Arroyo, L. Méndez Salinas and G. Ajú Álvarez(eds.), XXX Simposio de Investigaciones Arqueológicas en Guatemala, Tomo 2, pp. 749-758. Guatemala, Ministerio de Cultura y Deportes, Instituto de Antropología e Historia, Asociación Tikal.
  • Kotegawa, H. 2017. Estero Rabón. Tradición Regional e Impacto Cultural Foráneo. In L. Budar, M. Venter and S. Ladrón de Guevara (eds.), Arqueología de la Costa del Golfo: Dinámicas de la Interacción Política, Económica e Ideológica, pp. 117-128. Mexico, Universidad Veracruzana.
  • Kotegawa, H. and M. García Hernández 2017. Arqueología Pública en Estero Rabón. Revista La Ciencia y El Hombre 30(Especia): 42-49.

写真1:エステロ・ラボン遺跡におけるボーリング発掘
写真1:エステロ・ラボン遺跡におけるボーリング発掘

写真2:サン・イシドロ村共同家屋前エステロ・ラボン遺跡出土石彫展示台
写真2:サン・イシドロ村共同家屋前エステロ・ラボン遺跡出土石彫展示台