小髙敬寛（おだかたかひろ）

所属：国際基幹教育院（古代文明・文化資源学研究所 兼任）
職階：准教授
専門：西アジア考古学
※金沢大学：研究者情報

研究内容

　1996年よりシリアでのフィールドワークを通じて西アジアの先史考古学に携わり、近年はトルコ、アゼルバイジャン、ヨルダン、イラン、サウジアラビアでの遺跡調査にも参加してきました。そして、現在はイラク・クルディスタンを中心に活動しています。これらの国ぐにの領土を含む西アジアが果たしてきた人類史上の先駆的役割は広く知られていますが、特に研究の標的としているのは、農耕牧畜社会の成立から都市文明社会に至るまでの文化変化のプロセス、そしてその波及によって生み出された古代オリエントともいうべき歴史的世界の成り立ちの解明です。

　具体的には、土器資料の研究を基盤に、生態環境や生業経済、ヒトの移動性との関連を注視しながら、物質文化の時空間的枠組みについて精細かつ重層的に把握することを進めています。その方策として、関連諸分野を専門とする研究者たちの協力を得て 「ザグロス山麓先史考古学プロジェクト」を主宰し、イラク・クルディスタン南東部、シャフリゾール平原に所在するシャカル・テペ遺跡およびシャイフ・マリフ遺跡の調査を行なうとともに、国内外に所蔵されているイラク北部の諸遺跡から出土した考古資料の分析にも取り組んでいます。

　こうした活動を通じて、人類最古の文明であるメソポタミア文明がおよそ5000年前に誕生した経緯を実証的に跡づけ、世界各地の古代文明を比較研究するうえでの基軸を提供できればと考えています。

主な著書・論文

• Odaka, T., O. Maeda, T. Miki, Y. S. Hayakawa, P. Yewer and H. Hama Gharib 2023. Excavations at Shaikh Marif, Iraqi Kurdistan: Preliminary Report of the First Season (2022). Ancient Civilizations and Cultural Resources 1: 1-22.
• Odaka, T. and O. Nieuwenhuyse 2022. Halaf Pottery in the East End: Insights from Tell Begum, Iraqi Kurdistan. Orient 57: 113-124.
• Odaka, T. 2021. Neolithic Potsherds from Tell Hassuna: The Collection of the University Museum, the University of Tokyo. In R. Özbal, M. Erdalkıran and Y. Tonoike (eds.), Neolithic Pottery from the Near East: Production, Distribution and Use, pp. 169-179. Istanbul, Koç University Press.
• Odaka, T., O. Maeda, K. Shimogama, Y. S. Hayakawa, Y. Nishiaki, N. A. Mohammed and K. Rasheed 2020. Late Neolithic in the Shahrizor Plain, Iraqi Kurdistan: New Excavations at Shakar Tepe, 2019. Neo-Lithics 20: 53-57.
• Odaka, T., O. Nieuwenhuyse and S. Mühl 2019. From the 7th to the 6th Millennium BC in Iraqi Kurdistan: A Local Ceramic Horizon in the Shahrizor Plain. Paléorient 45(2): 67-83.
• Odaka, T. 2019. Neolithic Potsherds from Matarrah, Northern Iraq: The Collection of the University Museum, the University of Tokyo. In S. Nakamura, T. Adachi and M. Abe (eds.), Decades in Deserts: Essays on Near Eastern Archaeology in Honour of Sumio Fujii, pp. 251-260. Tokyo, Rokuichi Syobou.