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バンドゥンのバティック工房訪問


写真. 1

写真. 2

写真. 3

 インドネシアのバンドゥンにあるバティック工房とショップを兼ねた「STUDIO HASAN」に見学に行ってきました。ここではバティックを製作販売するだけでなく、バティックを国内外に広く知らしめることを目的に、インドネシア人や海外から来た人々に向けてのワークショップを開いていて、日本からも受講者が訪れてバティックを学んでいます。

インドネシアのバティックは地域によって「伝統的」デザインに特徴がありますが、バンドゥン(Bandung)で作られるものはソロ(Solo)やジョグジャカルタ(Yogyakarta)のバティックの影響を受けながら、地域独自の発達をしたといわれています。

 バティックとは蝋を用いた模様染め(ロウケツ染め)のことで、蝋が置かれた部分に色が入らない防染技法の一種にあたります。木版や金属版を用いた版染め(写真1)と手描きに分けることができ、インドネシアのバティックの特徴は「チャンチン」という道具(写真2)を使用することにあります。これは木製の柄の先についた金属部分に熱した蝋を掬い取り、細い先金から蝋を流しだすことによって布上に線描するという、気温の高い土地ならではの構造になっており、気温が低いと先金で固まってしまい描写できないので、日本で使用しようとすると温度管理が難しくなります。また、ロウケツ染めに筆を使うこともありますが、チャンチンを使うと一定の細さの線を引くことができ、傷み方の早い筆と違って、非常に長く使用できるという利点があります。

 地染めの特徴は、温度を上げられないロウケツ染めのために、下漬剤と顕色剤を用いるナフトール染料を用いて、棒を渡したバットを使って2人がかりで浸染を行う点にあります(写真3)。2人で作業を行うため、置かれた蝋も傷みにくくなるといえます。温度を上げない点で、植物染料を使用する際はどのような染色法を用いるのか、また技法における地域的な相違は見られるのかなどについては興味深く、それについては今後、機会を見つけながら調べてゆくつもりです。

 訪れた工房では天然染料を使用していませんでしたが、版染め、手描きとも製作されており、売られるものも「伝統的」衣装である「kain(カイン)」などの大判の布から、コースターやクッションカバー、「Furoshiki」などの小物の類まで、素材も多様に売られていました。薄手の生地の風合いと蝋の防染効果を生かした、一見透かし織りに見えるようなストールも扱っており、ややもすれば野暮ったくなりかねないロウケツ染めを、現代の女性の感覚に合うようにデザインしようとする作り手たちの工夫が見受けられました。





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