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チェンマイの染織工房「美しい竹林の家」訪問記


写真. 1


写真. 2


写真. 3


写真. 4

 今回訪れたのは、チェンマイ県の染織工房、「バーン・ライ・パイ・ガーム(Baan Rai Pai Ngarm=美しい竹林の家)」で、名前の通りのそれは美しい竹林の奥に佇んでいます(写真.1)。セーンダー=バンシット財団(Saeng-da Bunsiddhi Foundation)によって運営され、「伝統的」な高床式家屋を利用した「パーダー・コットン・テキスタイル博物館(Pa-da Cotton Textile Museum)」(写真.2)も一般開放されており、染織道具だけでなく「伝統的な」生活用品も展示しています(写真.3)。設立者はセーンダー=バンシット(Saeng-da Bunsiddhi)女史で、彼女が1960年代に寡婦となった後に、友人の主婦グループと共に始めた綿織物の製作販売が軌道に乗って、染織工房として知名度が上がりました。綿花栽培から、糸紡ぎ、機織りまでを周辺の農家に請け負わせたり、自工房で作業をしてもらって賃金を支払うというシステムを構築し(写真.4)、現在ではセーンダー=バンシット女史の娘さんが工房を受け継ぎながら、周辺地域の人々への経済的貢献も果たしているといえます。

 この工房での染色には「伝統的」な植物染料を使用していましたが、興味深いのはそれだけでなく、植物染料を定着させるための媒染剤としてバナナの幹の灰を使用し、その灰汁の取り方も容器をぶら下げて取るという手法をとっていたことでした。これは私がフィールドとするインドでも見られますし、このような灰汁採集の方法が地域的にどの範囲まで見られ、それが見られない地域で取られた灰汁の質とどのように異なるのか、調べてみたい気持ちにかられています。

 併設されている販売店には、落ち着いた色合いの織物がズラリと並び、日本に持って帰ってきても、アジア的な雰囲気を漂わせながらも落ち着いた着こなしができそうな布が多かった点は少し驚きでした。私が、オーナーに手紬ぎの糸選びでいくつか質問をすると「何を編むの?」と聞かれ、「編めないから織ると思います」と答えると、「編むにも織るにも、集中力がいるのよねえ」と感慨深げに頷かれていました。ご自身が染織の経験者だけあって、どんな質問にも体験を交えながら詳しく丁寧に答えていただき、時間が許せば、もっとつくり手としてお聞きしたいことがたくさんありましたが、今回は残念ながら日程の都合上、夕刻には帰路につきました。








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