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音楽とアイデンティティー形成プロジェクト
世界の音楽文化に多様性があることはよく知られていますが、その多様性を基礎づけているのは、音楽が人間の特定集団への帰属を確認する指標となるばかりか、演奏や歌唱や踊りといった音楽的行為が、しばしばアイデンティティを形作りもするという事実です。たとえば、米国のジャズやヒップホップといった大衆音楽文化は、米国の主流社会に対抗する「黒人文化」の代表として、黒人アイデンティティの拠り所となってきました。また、20世紀に世界中に広がった「ペンテコステ派」と呼ばれるキリスト教の宗派では、歌唱やダンスが信者の宗教的アイデンティティ形成に不可欠です。アイデンティティは他者との関係性のなかで構築されますが、音楽は他者との身体的コミュニケーションを独自に秩序づけます。本研究では、集団で行われる音楽行為(演奏、歌唱、ダンス等)における人々の身体的コミュニケーションに着目しながら、その過程と個人のアイデンティティとの関連を実証的に探ります。本プロジェクトでは、米国やアフリカでのフィールドワークから以上の問題に取り組みますが、そうした個別の文化研究は、私たちの社会における音楽文化という資源について考えるヒントにもなるでしょう。