西村 聡 人間社会学域 人文学類 教授
写真:金沢市卯辰山豊国神社の「井筒」
私の専門は能楽の研究です。とくに中世文学としての能・狂言の作品研究と、加賀・能登地域を中心とする能楽史研究を柱にしています。前者に関しては、加賀藩時代に著された、質量共に全国水準にある謡曲注釈書類が金沢市立玉川図書館に蔵されていますし、後者に関しても、能楽史研究の基本資料とすべき番組類が地元に豊富に残存しています。さらに石川県立能楽堂では百年以上続く金沢能楽会の定例能をはじめ、各種の催しが行われて、実演に接する機会に恵まれています。石川県立美術館や金沢能楽美術館には貴重な面・装束が収蔵され、市内各所に作品の伝承地も散在します。能楽は総合芸術といわれ、私が研究できるのは文学と歴史に限られますが、美術や音楽、思想など他領域の研究者や現場の演者・作家の方々の協力も得ながら、これら地元の「文化資源」を活用した能楽研究を発展させてゆくつもりです。