2019年度「コパン考古学プロジェクト」について

 4月1日、新年度の開始とともにコパン遺跡中心部の神殿7(別名、7号神殿、正式名称は建造物10L-7)、神殿11(同、11号神殿、正式名称は建造物10L-11)の調査を開始しました。今後、少なくとも3年間にわたって、この二つの建造物で最先端技術を応用した文理融合の国際共同研究や集中的な発掘調査・修復保存作業が実施されます。


図1:コパン遺跡中心部


 新しいコパン考古学プロジェクト(PROARCO II)の考古学的な調査目的は、コパン王朝創始時期とそのプロセスを解明することです。定説では、西暦426年から427年にかけて外来者である「ヤシュ・クック・モ」によってコパン王朝が成立したと言われています。また、この初代王「ヤシュ・クック・モ」はアクロポリスの地下深くに埋められた建造物であるフナル建造物の中に埋葬された(つまりフナルの被葬者=初代王)と考えられています。古典期前期(西暦300~600年)におけるこれらの歴史復元が果たして正しいのかどうか、その点を、様々な調査とそれにより回収される独自資料で検証していきます。

 最新技術を応用した文理融合研究という観点からの調査目的は、これまでのトンネル発掘法にかわる新たな非破壊の考古学的調査法を開拓することです。そのために名古屋大学高等研究院の理系の若手研究者チームと連携し、宇宙線ミューオンの透視力を活用したアクロポリス内部の透視と透視結果の確認に挑みます。


 調査対象となる二つの建造物に関して、概略を紹介しておきましょう。神殿7は、アクロポリスの北西部に接続する南北に延びる長いプラットフォーム上に位置しており、有名な神聖文字の階段をもつ神殿26と、広場を挟んで太陽の通る道である東西軸に沿って対面的な位置をもっている建造物です。すでに19世紀終わりの最初のコパン調査時の写真に現れています。


図2:19世紀に撮影された神殿7号付近
*出典:Maudslay, Alfred P. ,1898-1902 Archaeology, Biología Centrali-Americana. London.



図3:現在の神殿7号


 現在、建造物の前には初代王「ヤシュ・クック・モ」の名前を刻んだ祭壇が置かれています。


図4:「ヤシュ・クック・モ」の名前が刻まれた文字ブロック


 一方、神殿11は、言わずと知れたアクロポリスの顔でありコパンを訪問する人々がそのアクロポリスのファサードとしてみる中心的な建造物です。
 1939年にアメリカのカーネギー研究所によって短いトンネル発掘が行われていますが、ほとんど手付かずです。このため、近年、アクロポリス東側に5キロを超えるトンネル網を掘ってコパン王朝史の定説を作り出したアメリカ人研究者たちの資料や仮説を検証するまたとない建造物といえるでしょう。神殿11の中には15代目王の墓があると以前から考えられてきましたが、それだけではなく、近年のドイツチームの碑文解読により、7代目王の墓もあるのではないかと想定されています。


図4:神殿11号正面

 日々の発掘調査の様子は、SNSで逐次発信していきますのでそちらでご覧ください。


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