研究生レポート:JICA「草の根技術協力事業」の2019年度本邦研修(4日目)

Miguel Ángel Echeverría Tager
(ミゲル・アンヘル・エチェベリア・タヘル)
(2019/10/10)

 10月9日水曜日、10日木曜日の二日間、私たち研修生には、金沢市内の歴史的価値を有する地区を見学する機会が与えられた。研修の一環として、金沢城、兼六園、長町武家屋敷界隈、そして、ひがし茶屋やにし茶屋など、この街の主要な観光地を視察することができた。視察には、国内調整員である緒方理彩氏が研修生を先導した。また、観光振興に興味のある金沢大学のグアテマラ人留学生であるアレハンドロ・ファジャ氏が同行し、翻訳等の補助を務めた。

 9日の活動は、金沢市役所の訪問から始まり、金沢市役所観光政策課の小川晶子氏が金沢市の観光開発に関する講義を行った。特に、市が観光旅行を誘致するために取った調査と計画に焦点を当てており、海外および日本国内の訪問者数の統計、出身国に応じた訪問者数の分布が提示され、新しい戦略が採用されてからどれほど訪問者が増加したかということが示された。また、金沢市の政策である、効率的な計画、効果的な広告キャンペーン、充実した観光案内所を中心に、金沢のような都市が観光で今後どのように成長できるかを説明した。


小川晶子氏による講義の様子


 軽い昼食の後、金沢城公園とその隣の兼六園を視察した。 ツアーガイドと共に公園を歩きながら、金沢城と兼六園の歴史やその構造についての説明を受けた。 自然と触れ合える屋外の環境について、ティカル国立公園を代表して自然遺産の保全に取り組んでいる研修生のクリステル・オレジャーナ氏は、兼六園の植物をどのように観察し保護をするかというガイドによる説明を最も取り入れようとしているように思われる 。彼女は兼六園を、人間の芸術的な感性と自然の本質的な美しさが結びつけられていると考え、鑑賞した。


金沢城公園での研修の様子



金沢城の建築デザインについて説明を受けている場面


 近世の街の中心として名残を有する金沢城、兼六園を歩いた後、石川県立伝統産業工芸館を訪問した。私たちはそこで金沢を有名たらしめている金箔の工芸品を見ることを期待していたが、博物館に展示されている伝統的な衣服や食器はさらに魅力的であることが分かった。最高級の輪島漆器と九谷焼に囲まれ、最も繊細で洗練された加賀刺繍と加賀友禅のデザインを見た際、特にイシュル(Ixlu)のコミュニティを代表する研修生であるイングリ・モラレス氏は、口をぽかんと開けていた。手染めと手塗りのシルクは、芸術作品のようであった。彼女は、「もしもこれら(美しい絹織物だけでなく、展示されている漆器の小鉢も)を家に持って帰ったら、ただただ陳列ケースに入れて、私を訪ねてきてくれる人に見せるにとどめたい。私はこうした服を着たり、食べるためにこの漆器を使いたくない。もちろん派手なパーティーのためにも!」と言っていた。

 日本では、都市、芸術、実用性において、過去と現在が共存するだけでなく、それらが不可分であることを私たち全員が認識した。 必然的に、私たち研修生は皆、この状況をグアテマラやティカル国立公園への観光回廊の事例と比較した。現在とつながる考古学的な過去の側面や、グアテマラの高地にて専業の女性によって織り込まれ、彼女達が誇らしげに着用している美しい織物などがその一例である。


石川県立伝統産業工芸館での研修の様子


 この日の最後には、茶屋文化が未だに残されている、主な茶屋街の1つであるひがし茶屋街を訪れました。 非常に友好的なガイドによって、芸者とは何か、武士や封建領主はこの地区でどのように楽しんでいたのかの説明がなされた。 私たちが通りを歩いているとき、私たちが単なる観光でなくそれ以上の理由でこれらの地区に興味を持って訪れていることをガイドが知ると、文化財の重要性によって保存を担当する協会が連携するために確立したという、違ったカテゴリーの説明も行った。


ひがし茶屋街での研修の様子


 この日の活動の最後のハイライトは、裏庭に金蔵がある金箔の工芸品店である箔座に立ち寄ったことである。 その蔵から輝くまばゆい光は、想像もできなかったものであり、決して忘れることができないものであった。 これは本物の金なのだろうか? それは金箔であり、また衝撃的なものであった。


金蔵に感心する伝統的な着物を装った3人の地元観光客