研究生レポート:JICA「草の根技術協力事業」の2019年度本邦研修(6日目)

Miguel Ángel Echeverría Tager
(ミゲル・アンヘル・エチェベリア・タヘル)
(2019/10/12)

 10月9日、10月10日の二日間、金沢の歴史的、文化的な価値を持つ地区を中心に視察を行い、10月11日金曜日には金沢大学の講義室にて2つの講義を聴講した。京都府京都文化博物館の村野正景氏から、パブリック考古学の理論と実践についてのプレゼンテーションが行われた。村野正景氏は京都文化博物館に勤務しているが、エルサルバドルのチャルチュアパ地域周辺の考古学公園にて広範な作業を行っている。村野氏の講義では、中米でパブリック考古学が直面する問題を扱い、教育的および政治的観点から解決策を提案していた。私たち研修生全員が何らかの形でティカル国立公園周辺の開発に関与しているため、村野氏の講義で説明されている理論は、例えそれが私たちの何人かは今まで聞いたことのないものであったとしても、容易に関連付けできるものであった。教育システム内であろうとグアテマラの政策立案者の内輪であろうと、リーダーシップと組織化の欠如は社会開発に関する議論の中心に位置するべき主な問題のひとつであることに私達は同意するする他なかった。 二度行われたこの講義での質疑応答の時間は、この意見を共有することに寄与し、エルサルバドルとグアテマラの考古学公園の状況の類似性を示すに至った。この講義の出席者には、金沢大学に留学しているラテンアメリカ出身の学部生2人も含まれており、私たちの議論にも参加してもらった。


村野正景氏の講義時の研修の様子


 二つ目の講義は、私たちが10月14日に訪問する白川村に関するものであった。白川村観光振興課の尾崎達也氏は、1965年以来ユネスコ世界遺産に登録されている白川村の近年の歴史を紹介した。この講義では、白川村が山中の一村からどのように成長し、いかにして大勢の人々を日本に訪れさせる観光名所の一つになったかという点に焦点が当てられた。尾崎氏は、観光客の誘致のため採用した白川村の観光政策について説明し、細かな統計を提示した。この内容は、グアテマラ観光庁を代表する研修生のフランシスコ・カノ氏と、ホンジュラス国立人類学歴史学研究所を代表するクリスチャン・アギラール氏にとって間違いなく印象的な内容であった。次に尾崎氏は、特定の観光客層をターゲットに開発された広告キャンペーンを中心に説明した。尾崎氏は一例として、ソーシャルネットワークを介した投稿、出版物、ビデオ、マルチメディアプレゼンテーションなどを紹介した。尾崎氏が提示したマーケティング調査に私たち全員は感銘を受けた。私たち全員が、こうした事例を参考にすべきだと思った。私たち全員が、こうした例が私たちの国にも適応できるモデルであると実感すると同時に、この村を訪れて自分の目で、このような観光の連携を見ることができる日をより一層心待ちにした。


尾崎達也氏の講義時の研修の様子